商品先物取引「絶対に損はさせない。大丈夫、なんとかするから」と言ったのに! 投資した元金は戻らないの?
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問 |
昨年夏、貴金属の商品先物取引※の電話勧誘を受けた。「元金は絶対に保証する」と言われ、70万円を送金した。その後、売買を指示した覚えもないのに、すぐに利益として6万円入金された。その月末にはマイナス70万円になっている取引報告書が送られてきたが、業者は「大丈夫、なんとかするから」と言うので元金は保証されると思っていた。半年後「取引が終了した」と7万円が返金された。元金はまだ50万円以上あるはずだ。 |
(70歳代) |
※商品先物取引…将来の物の値段を予想して売買する取引。両者間で商品そのものは行き来せず、お金のやり取りだけで済ますことができる(差金決済) |
答 |
業者に聞き取りしたところ「元金を保証するとは言っていない、リスクについても説明している、売買は全て本人の指示通りにやった」と言って話は平行線でした。
「商品先物取引法」が改正され、2011年1月1日から無許可・無登録業者は取引禁止となり規制がきびしくなりました。しかし、この業者は昨年のうちに取引業を辞めているため現在の法律違反を指摘することが出来ませんでした。当時の法律に照らし合わせて確認しましたが、取引内容が複雑で相談者自身から情報を得ることが難しく、業者から聞き取りをし、交渉しているうちに連絡が取れなくなってしまいました。 |
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商品先物取引は複雑な仕組みであるため業者はリスク(元本割れする危険性)についても説明するよう義務付けられていますが、メリット(儲かること)を強調して勧誘している事が多いようです。「利益が出た」と言ってすぐに入金されると追加投資したくなるかもしれませんが、実際には預かった元金を取り崩して利益に見せかけているだけの場合もあります。
一度送金すると、悪質な業者であればまず戻ってくることはありません。もし訴訟を起こして勝訴したとしても相手に支払い能力がなかったり、既に倒産していれば返金されないこともあります。商品先物取引は大変危険です。「絶対に儲かる」という話などありません。
高齢者や過去に投資トラブルに遭った人が狙われることが多いので十分注意してください。
商品先物取引は「商品先物取引法」と「金融商品販売法」という法律が適用されます。このうち「金融商品販売法」は「絶対に儲かる」など断定的判断提供をしたことによって消費者が損害を被った場合、事業者には損害賠償義務があるとされています。しかし実際には事業者がそれを認めなかったり、交渉中に連絡が取れなくなり解決に至らないことが多くあり、法律がうまく機能していないのが現状です。 |
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